J. of Taroten

書評「地球温暖化」，伊藤公紀著，日本評論社，シリーズ地球と人間の環境を考える01, 1600円, 2003 (C6面:書評, 2004.1.30)

この種の主張の割にはすがすがしい

　この本の要旨を一言で言えば，二酸化炭素の増加によって生じる地球温暖化 は，言われているほど確かなことではない，ということになる。環境政策における価値観を「後悔しない」から「善き生」へ転換すべきだともいう。一般に，「環境問題が騒がれているが，本当は大したことがないのです」という主張の本を読むと，読後の後味が悪いのだが，この本は，割とすがすがしい気持ちで読み終わることができた。事実に基づいた冷静な記述が多いことが原因だろう。

シリーズものです

　この「シリーズ地球と人間の環境を考える」の04に「環境ホルモン」という本がある。この本の副題は，「人心をかく乱した物質」と皮肉が込められていて，この副題からだいたいの中身が想像できる。一言で言えば，「だんだん環境汚染は改善してきているのに何をいまさら 環境ホルモン と言って騒いでいるのか」という内容である。こちらの本は，飲み屋でおやじが悪態をついているのに近い部分が所々あって，読後のすがすがしさに欠ける。今日でも新規にあきらかになる職業ガンがある ことから，化学物質による汚染リスクについて，「問題ない」というだけでなく，継続的に問題発掘に努めることが必要だ。

その他の このシリーズ07水と健康，08ごみ問題については別稿にした。