J. of Taroten

国際会議Membranes for water and wastewater treatment conference (Harrogate, UK, C1面:旅行・出張, 2007.05.15-17)

会議の登録費も高いし，その他の物価もものすごく高い

　数年前まではUS$500が国際会議の参加料の一つの目安だったと思うのだが，今回の会議の参加料は，10万円を超え，ここ数年で，国際会議の参加料は、大幅に上昇したことを考えても，破格の高さだと思う。それでいて，Gala Dinnerは主催者側の都合でキャンセル。文句を言っている参加者が多かった。韓国の先生が，「今度，うちも国際会議をやるので，Organizing Committee のメンバーになっているイギリス人に連絡したら，会議のための仕事は有料で請け負うので，金を出せと言われて，びっくりした。会議の運営のための人的経費を参加料から出しているのだと考えると，この値段も少し理解できる」と言っていた。学会の運営は，手弁当が普通だと思うが，一方で，研究者といえども，あるいは，自分の属する学会の活動のためだとしても，雑用には対価を払うのが望ましいのかもしれない。難しいところです。

たろてんの発表は，タイでの染色廃水の処理についてが口頭発表，カーバマゼンピンのMBRでの処理がポスター発表でした

　たろてんの発表は，タイでの染色廃水の処理 についてが口頭発表，カーバマゼンピンのMBRでの処理がポスター発表。染色廃水処理の方については，タイでのRO濃縮水の処理はどうしているのかと言う点が質問され，ROのファウリングが問題なら，MBR(MF)-ROではなくMBR(UF)-ROのプロセスで考えたほうがよいのではないかと言うご意見をいただいた。医薬品の除去のためにMBRに活性炭を添加する方については，活性炭を曝気槽にいれるよりも，MBR処理水に対して，GACなりPACの処理をした方が活性炭の有効利用にはつながるのではないか，という指摘をいただいたが，他にも，いろいろ言ってくる人は多かったです。

MBR(膜分離活性汚泥法)の歴史

　MBR(膜分離活性汚泥法)の技術は，40年前に特許がなされたが，当時は，膜素材や運転技術，それに適用場所が十分に開拓されておらず，お蔵入りのアイディアであった。20年前に東大の山本先生らの膜分離槽に直接分離膜を浸漬する提案によりエネルギー消費が大きく低減し，膜素材の進歩や高品質処理水の需要，水処理施設のコンパクト化の要請などの時流に乗って，一気にMBR技術が実用化した。


日本人参加者で記念撮影

会議全体としてはMBRの標準化が話題の中心にあった

　一般に，技術は，1. 技術開発される時期，2. 技術が標準化される時期，3. 投資額が飛躍的に増大する時期，4. 当該技術が他の技術に押し込まれて衰退していく時期，が順に訪れる。MBR技術については，開発研究の時代はそろそろ終わりで，2.の標準化されるべき時代に入っているという認識がある。MBRの処理場の寿命は，土木く体が50年，電気機械設備が15年程度，膜自体は5年程度と考えられているから，更新需要がそう遅くない時期に生じる。そうした時に，膜の規格を標準化しておけば，他社の製品に交換することも可能であり，ユーザー側にとっては都合が良い。RO/NFが8インチスパイラルの形で三大サプライヤー(日東電工-Hydranautics, 東レ，Dow-Filmtec)をまたいで膜モジュール規格の標準化に成功していることから，MBRの規格もこの際統一しましょうと言うのが，欧州側の考えである。

MBRは依然としてコスト高とは認識されているようである

　MBRの技術が一気に普及しかかっているとはいえ，依然として，既存の活性汚泥に比較したコストでは高いと考えられており，処理水の有効利用が必要な場合や放流水質基準が厳しい場合など，別なことが要求されない限り，なかなか導入は難しいのも確かなようであった。放流水質基準 については，欧州が，BOD-10 mg/L, SS-15 mg/L, NH3-1.5 mg/L, P-1 mg/Lの基準を導入するので，これが，MBR導入の一つの動機にはなるというようなことだった。あまり本論に関係ないが，欧州の下水も濃度が高いように思った。ベルリンの例では，BOD-430, CODcr-1090 mg/L, TKN-153 mg/L, TP-23 mg/Lが報告されていたから，日本の下廃水濃度になれているたろてんとしては何か間違っているように感じであった。MBRのコストが高いとは言っても，海水淡水化に比較すると，下水を原料にMBR+ROで造水するコストは半分であるとも見積もられており，本当に水がないところであれば，MBR+ROは良いオプションになり得る。一時期ゼノンがこの種の会議では目立ったが，今回は，Veoliaが目立った。

白人女性は・・・

　たろてんの同業と言う点では，医薬品 やホルモン類のMBR処理やNF処理の研究がいくつか発表されていたが，どう考えても研究のレベルはたろてんの勝ちだと思う。イブプロフェンのMBR除去について発表しているカナダからの美人女性が「たろてんの研究も参考にしてます」ということだったので，「どうして，イブプロフェンなの」と訊いたら，「今回の発表は，修士論文の発表。他にも，抗生物質とかカーバマゼピンとかもやっている」と言ってました。

　会議の開催されたHarrogateは，Turkish Baths(直訳するとトルコ風呂だが，エッチな意味は全くない)が有名だが，要するに単なるサウナ風呂で何ら珍しいものではなかった。男性の時間と女性の時間と混浴の時間，カップルの時間(!)の4つがあるのだが，先のイブプロフェン女性のような金髪の白人美女を期待して，混浴の日に行ってきた。しかし，そこには，メタボおばさんが汗を絞り出す姿があり，白人女性は気を抜くとああなってしまうのだろう。