J. of Taroten

Open Peer Reviewと優秀査読者のReceptionご招待 (C3面：研究者の生態，2017.9.5初稿, 2018.8.29段落追加)

Water Science and Technology 今年になって16件目の査読依頼

　IWAを特に支えているわけではないたろてんだが，Water Science and Technology, Water Researchなどからくる査読依頼にはすべて応諾するようにしています。これらはインパクトファクターのある雑誌なので，少し厳しめのコメントを書いて，「著者らは，何が新しいのかを示すのに失敗している」「材料の雑誌ならともかく，Water Science and Technologyとしての理論的あるいは実用的価値がない」などと Rejectで返信することが多い気がします。中途半端な判定であるMajor revisionは，Editorの労力を増やすだろうということで，避けています。

最近は査読者も採点される(2018.8.29段落追加)

　Water Research誌では，最近，論文著者に査読の質を査読者ごとに1点, 50点, 100点で付けるように修正依頼のレターで言っている。最近，たろてんだけがreject，他の2名がrevisionで返した査読レポートに対して，たろてんだけに50点，ほかの査読者には100点を著者が付けていました。まあ，それはそうか。それにしても，最近，日本からの英文誌への投稿は少なめです。

で，コメントの最後に出てくる質問で・・

　そして，査読コメントの入力画面の最下部に，次のようなメッセージが出てきます。

* If this submission is transferred to another publication, do we have your consent to include your identifying information?
Please Select Response. Yes● No○ Response required

* If this submission is transferred to another publication, do we have your consent to include your review?
Please Select Response. Yes● No○ Response required

* If this submission is transferred to another publication with "Open Peer Review", do we have your consent to publish your review in a pre-publication history?
Please Select Response. Yes○ No● Response required

　要するに「他の雑誌にこの原稿が投稿されたら，提出されたあなたの評価を使ってもよいか」というような問で，たろてんは，最近まで，よく考えずYES, YES, YESで返答していたのだが，直近では，上記のようにYES, YES, NOで返答している。実のところ，Open Peer Reviewというものがどういう感じで進展するのか予想がつかないので，Rejectで出したコメントを著者が見れば，たろてんに対して敵意が生じるだろうことの予防として，Open Peer Reviewに対してのみはNoと答えているということです。

On-line時代の論文の評価

　紙媒体とちがって，公開自体にさほどの費用が掛からないOn-line時代の論文の評価としては，著者が投稿したものはすべて掲載して，評価は後ほど付ける「あとからReview」はひとつの考え方としてあり得るとたろてんは考えています。また，"Open Peer Review"という方式も，運用の仕方によっては，「あとからReview」と似た意味があると思います。昔，「衛生工学論文集」という冊子があった頃，各論文の最後に討議というページがあり，他の研究者の1ページコメントが論文と一緒に冊子化されていた時代がありました。その後，紙には討議を残さず，論文を口頭発表して，Nominated discusserが討議する方式になり，やがてそれも廃止されました。論文内容を批判するコメントが出にくい，という"Open Peer Review"でも想定される悪い面が目立ったのかも知れません。

Elsevier から感謝表彰状 2017/09/05 20:03

Dear Taro Urase,

I am pleased to inform you that you have been selected as one of the IChemE journals' Top Reviewers based on volunteer reviews that you provided in 2016.

We greatly appreciate the contribution that our reviewers make towards the success of the journals and we would like to invite you to celebrate with us at the Elsevier Awards & Appreciation Reception during the WCCE conference in Barcelona this October.

If you are able to attend, you will be presented with a certificate to recognize your achievement at the reception. If you are unable to attend, or would prefer to receive your certificate by email, please let me know.

だって。Top reviewerだとおだてて，会議の参加者を募るElsevierの新商売か。でも，日本の学会も優秀な査読者には表彰状や感謝状を出した方が，査読の質を高めるうえでよいと思います。上記の英語のレターにならえば，たとえば，学会のreceptionやら懇親会に優秀な査読者を無料で招待するのもいいと思う。そしたら，たろてん，いくつかの水関連の学会の懇親会は無料になるはず。