J. of Taroten

看板の架け替えによる環境問題のごまかし (C4面：大学教育，2003.3.14)

原子力発電の環境を整備するって・・・

　三鷹駅の線路脇に原子力発電環境整備機構という団体の駅広告看板がある。この原子力発電環境整備機構なる団体が何をする組織かは，この団体の英語名を見ればはっきりわかる。Nuclear Waste Management Organization of Japan. 直訳すれば，日本核廃棄物管理機構となるはずである。「核廃棄物」では生々しいというのであれば，それを「原子力残さ」などに言い換えても良いが，どう頑張って意訳したところで，「環境整備｣になるとは思えない。我々は，こういう言い換えが好きで，こういうやり方で，今までごまかしていろいろやってきた歴史がある。別にこの機構が悪いとか責めるつもりはないし，むしろ，成熟していない市民感情や住民運動，それに扇情的な報道を好むマスコミ の方が悪いと思うが，いつまでもこうした手法を続けるべきではないと思う。

某大学正門を入って右奥

　某大学(現勤務先ではない)を入って右の方へ進むと白い工事用矢板に囲まれた一角があり，看板には「○○実験室整備工事」という看板がある。一体何を整備する工事なのかというと，水銀除染工事だったりする。建設工事現場には必ずある「今週の工事予定」の看板には，「ドラム缶搬出工事」とある。たしかにドラム缶の搬出が仕事かもしれないが，その中身は実は水銀汚染物搬出作業と書くべきものだ。「水銀の除染工事」は，どう頑張ってか意訳すると，「整備工事｣になるようである。別に土壌汚染はそう騒ぎ立てるべきことではない。こっそり騒がれないまま粛々と除染工事を進めるのが最も環境には良いと思うが，いつまでもこうした手法を続けるべきではないと思う。なお，この大学では，教授会の議事録などはすべて公開されており，議事録にははっきり汚染の事実が書かれているので，ことさら隠す必要はないと思われるので，ここに記した。